江戸東京野菜 文字サイズを標準にする 文字サイズを大きくする 江戸東京野菜

いにしえの江戸東京野菜料理

 江戸時代後期になると、さまざまな料理書が出版されています。当時の人たちはどのような料理を口にしていたのでしょうか。当然ながら、使われる野菜は「江戸東京野菜」。いまもし同様のものを作るなら…という方法で、今様の作り方も紹介します。これから徐々に品数を増やしていきますのでご期待ください。

茄子鴨焼(なすしぎやき)

◎出典『料理秘伝記』(1805年)
鴨焼は茄子皮共に輪切にして 油にて揚焼かわかし 唐辛子みそ付よし 又醤油もよし 又皮を去 油を少羽根にてぬり焼て吉

【現代語訳では】
なすのしぎ焼きは、なすを皮ごと輪切りにして、焼き乾かすように油で揚げてから、唐辛子みそをつけても、醤油で味付けしてもかまいません。また、皮を取って、油を少々をはけで塗って焼くのもよいものです。

◆由来
鴨焼は本来、塩漬け保存した茄子をくりぬいて鴨の肉を詰めて調理したものから派生しているようです(室町期の『武家調味故実』〈1535〉による)。しかしいつのまにか、鴨肉はどこかに行ってしまいました。

◆いまもし作るなら…(4人分)
茄子(真黒茄子)4個 みそ大さじ2 砂糖大さじ1 酒大さじ3 鷹の爪(唐辛子)少々 油適量
①茄子は2センチ程度の厚さで輪切りにし、水につけます。
②フライパンを火にかけて油を敷き、水気をふき取った茄子の輪切りを、表裏とも、多少焦げ目ができるくらい焼きます。
③たれは、鍋を火にかけて、みそ、砂糖、酒を入れて練り、あらかじめ種を抜いて刻んでおいた鷹の爪を適量混ぜて仕上げます。
④焼いた茄子の表にたれを塗り、器に盛ればできあがりです。

◆江戸東京野菜メモ
茄子は、ここでは現在手に入る固定種の「真黒茄子(しんくろなす)」を用いますが、かつては「山茄子(やまなす)」と呼ばれたものを使っていました。

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蓮根梅肉和え(れんこんばいにくあえ)

◎出典『素人包丁』(1803年)
是も前のごとく湯煮したる蓮根の皮とり 小口より薄く切 梅干の肉をとり 白砂たうすこし入て和て出す 又煮梅の肉にてもよし

【現代語訳では】
これも前のように、湯で煮た蓮根の皮をむいて、小口切りに薄く切っておきます。つぎに種を取った梅干しに白砂糖を少々入れて、蓮根と和えて供します。この場合、煮梅の実を使っても、なかなかよいものです。

◆いまもし作るなら…(4人分)
蓮根100g 梅干大を3〜4個(肉のみを裏漉し) 砂糖大さじ1
①蓮根は、皮のままゆでてからむき、小口からできるだけ薄く切ります。
②梅干の肉を裏漉しし、砂糖を加えて混ぜ合わせます。
③①の蓮根を②で和えて、できあがりです。

◆江戸東京野菜メモ
現在では、蓮根は、和え物の場合、生のまま皮をむき薄く切って、酢水を通してから軽く茹でて使っています。
煮梅の作り方は「大梅干50を3日水に入よく塩を出し 大白さとう1升 諸白(注=日本酒)5合入 成程につめ申候 酢め(注=すっぱめのもの)望候はゞさとう控申候」(『料理集』橘川房常)ということです。

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白玉牛蒡(しらたまごぼう)

◎出典『歌仙の組糸』(1748年)
白玉牛蒡は能牛蒡さつと湯煮して水へ取 うへの皮を能去り 中の真を包丁目入 次に丸形に抜其中へ摺身を能詰 湯煮をして木口切にする也 平皿 煮冷し 取肴などにも甚だよろし

【現代語訳では】
白玉ごぼうは、ごぼうをさっと湯で煮て水にとり、ごぼうの皮をむきます。中心部に包丁目を入れて、つぎに丸くくりぬきます。そこに(魚の)すり身をしっかりとつめて、湯で煮て木口(小口)切りにして供します。盛りつけても、煮冷ましても、また酒肴としても、たいへんよいものです。

◆いまもし作るなら…(4人分)
牛蒡(滝野川牛蒡)太いものを1本 白身魚のすり身50グラム 砂糖大さじ1 醤油大さじ1 酒半カップ 出汁1カップ 塩少々
①牛蒡はよく洗い、5センチ程度に切って茹で、水にさらします。
②水にさらしした牛蒡の皮をむき、両端から小さなナイフなどでくりぬきます。
③塩をした鯛あるいは鱸(スズキ)の切り身を、すり鉢ですり下ろします。
④③を②の牛蒡につめます。
⑤酒・出汁・砂糖・醤油を鍋で煮立たせ、そこに④を入れて十分に味が浸みるまで煮ます。
⑥ ⑤を冷まし、2センチほどの小口切りにして皿に盛りつけます。

◆江戸東京野菜メモ
牛蒡は「滝野川牛蒡」を使いますが、「大浦牛蒡」でもいいでしょう。

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梅がか(うめがか)

◎出典『料理塩梅集』(天の巻1668年・地の巻1683年)
梅ぼうしをよく洗ひ さねをひしぎ 鰹を小口切こまかにきざみ 醤油 酒塩にて能に申し候 ぎんなん 木くらげ 細くして入申候 ぎんなんはいりて皮を去り申也
*梅ぼうしは「梅干」、鰹は「鰹節」のこと

【現代語訳では】
梅干しはよく洗って種を取り除きます。かつお節を小口切りで細かく刻んで加え、醤油・酒・塩でよく煮ます。ぎんなん、キクラゲを細かくして、それに加えます。そのとき、ぎんなんは煎って皮を取っておきます。

◎出典『合類日用料理抄』(1689年)
鰹(かつほ)ぶし細に削(けづり)すり鉢(ばち)にてすりあらきとをしにてふるひ壱升 古酒壱升 醤油(しやうゆ)六合 水五合 右の酒醤油水三色合候て右のかつほへひたひたに入炭(すみ)火の上にて煮(に)申候 煮(に)汁へり次第に右の合申汁を入皆に成まで煮(に)申候 但(たゝし)煮(に)申候内に 梅干(むめぼし)の肉(にく)すりて少 梅仁(むめにん)皮を去わりて少 干(ほし)ざんせう湯につけ内のにくを取こまかにきざみ少 右の三色は心次第にいか程成とも入申候 扨能炒(いり)かわかし能さましつぼへ押(おし)つけ入置候

【現代語訳では】
かつお節を細かく削って、すり鉢ですり、さらに篩でふるって一升用意します。それに古酒1升、醤油6合、水5合を合わせて、用意したかつお節にまずはひたひたに入れて、炭火で煮ます。煮汁が減ってきたら、残った合わせ汁を入れて、すっかり煮きります。煮ている最中に、すり下ろした梅干しの肉少々と、皮を取った梅の種の核少々、湯で戻して実を細かく刻んだ干しざんしょうを少々加えます。この3つは、できれば少しであってもよいから、入れたいものです。煮詰まったら、さらに炒り乾かして、よく冷ましてから、壺に押しつけるように入れて保存します。

◆いまもし作るなら…(4人分)
梅干4個 かつおぶし2分の1カップ 酒2分の1カップ 醤油大さじ4 水4分の1カップ ぎんなん10個 木くらげ3枚
①梅干は種を取って、裏漉ししておきます。
②かつおぶしは、すり鉢ですって、粉状にします。
③酒・醤油・水を加えて調味液を作っておきます。
④②のかつおぶしを鍋に入れ、③の調味液をひたひたに加えてから火にかけ、木のへらで混ぜながら加熱します。
⑤ぎんなんを煎って皮を取り除いて刻み、木くらげは水でもどして千切りにして、④に加えます。
⑥ 煮詰まってきたら残りの調味液を加え、さらに煮詰めて練り、水分がなくなればできあがりです。酒のつまみ、ご飯のお供として用います。

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